入居にかかるお金はいくら? 特養・有料老人ホーム・サ高住にかかる費用を徹底比較

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一口に老人ホームと言っても千差万別。一般の住宅と変わらないような、アットホームな雰囲気の施設や、高級ホテルのようなゴージャスな施設まで多種多様です。

そんな様々な老人ホームの中から入居する施設を選ぶにあたり、入居希望者の一番の関心はやはりその“費用”ではないでしょうか。

高齢者の要介護度が上がり在宅介護では対応できなくなっても、費用が払えずに諦めてしまう方も多いと言います。

そこで今回は特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の3つについて、サービスの違いに言及しながら、そこで暮らすために必要な費用について説明していきます。

高齢者向け施設系・居住系サービスにかかる基本費用

各施設に共通してかかる費用は、介護サービスを受ける際に発生する「介護サービス費」と入居に際しての家賃、光熱費、食費、雑費などの「生活費」になります。

介護サービス費に関しては利用者の1割負担(または2割負担)のため、要介護度による個人差以外はどの施設に入所してもかかる費用は大差ありません。しかし家賃や食費、入居にあたっての一時金の有無は、地域差や施設のグレードによってかなり差が出てきます。

では、具体的にそれぞれの施設にはどのような違いがあるのでしょうか。

特別養護老人ホームの費用

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特別養護老人ホーム(以下、特養)の場合、介護サービス費を除く利用料金は、世帯収入や課税状況などによって差はありますが、おおよそ7~15万円/月ほどです。入居にあたっての一時金はありません。

メリットとしては、やはりその安さ。もともと社会福祉法人や地方自治体などの公的な機関が運営していることもあり、後に説明する有料老人ホームと比べてもかなり安価に抑えられています。また、24時間の介護体制を整えている点も魅力の一つでしょう。

ただし、入所条件は厳しく、2015年度の介護保険制度改正に伴い、原則「要介護度3」以上の人でなければ入所できなくなりました。また、入居待ちをしている人数も多く、特に都心部ではその数が顕著です。

特養の入居条件などについてはこちら
特別養護老人ホームに入るには?「入居条件」と「入居待ちの間の過ごし方」

高齢者の要介護度が高く在宅介護はできない一方で、出費を抑えたい人向きの施設だと言えます。

有料老人ホームの費用

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有料老人ホームは特養と並ぶ居住型の施設です。主に民間企業が運営しており、「介護付」「住宅型」「健康型」の3つに区分されています。入居時にまとめて支払う入居金が設定されている施設もあれば、最近では入居金が0円の施設も増えてきています。入居金の価格帯は幅広く、一般的な施設であれば約数十万円~数百万円ほどですが、裕福層をターゲットにした、高級感を売りにした施設では数千万円かかるところもあります。

また、有料老人ホームは月々にかかる生活費も特養より高く設定されています。一般的な有料老人ホームでも家賃、食費を含めて20~25万円/月ほど。これからはPCを使う高齢者も増えると予想されますが、そのインターネット回線を引く際の工事費用やプロバイダ契約料も自己負担となります。

その他にかかる費用として介護保険の自己負担分(1割または2割)があります。

「介護付」の場合は介護保険が適用されるため、1ヶ月の自己負担額は介護度別に決められており、月々の支払いイメージがし易くなっています。注意点として、介護保険の利用限度額全てを使うことになるため、「介護付」に入居するとその他の介護サービスは利用できなくなります。

「住宅型」の場合は介護サービスは個別契約となり、必要な分だけ介護サービスを利用することができます。訪問介護を利用してヘルパーに来てもらったり、施設からデイサービスに通ったりと、自宅にいるのと同じような感覚で介護サービスを利用することができます。ただし、利用した分だけ自己負担額がかかりますので、常に介護サービスが必要な方は利用限度額を超えて、実費負担をせざるを得ないなど、月々の支払いが大きくなってしまうケースもあります。

有料老人ホームのサービスについてはこちら
「介護付」と「住宅型」の有料老人ホーム、どちらを選ぶ?

以上のように有料老人ホームを選ぶ際の注意点としては、やはり特養や後述するサ高住と比べて、お金が多くかかってしまう点です。入居一時金がかからない老人ホームもありますが、生活費などを比較すると他の2つよりやや高めに設定されている場合が多く、慎重に選ぶ必要があります。

資金がある方ならば、入居する老人ホームを様々な選択肢から選ぶことができるでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅の場合

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特養は待機者が多くては入れない、でも有料老人ホームに入るにはお金が少し不安…… そんなジレンマを抱える人たちのために、近年「サービス付き高齢者向け住宅(以下サ高住)」が注目を集めています。

サ高住は、施設というよりは管理人が常駐しているバリアフリー対応の賃貸マンション・アパートといったイメージです。居室内にキッチン・浴室がある「住宅型」と、ない「施設型」に大別できます。

管理人は居住者の安否確認と生活相談は行うものの、介護サービスを提供する義務はありません。そのため入居者が介護サービスを受ける際は外部のサービス提供事業者と別途契約をして利用することになりますが、大手が運営するサ高住では訪問介護ステーションやデイサービスを併設しているケースが多く、事実上、介護サービスとのセットを売りにしているサ高住は多く存在します。

都市圏の施設型でかかる生活費は15~20万円/月ほどで、これには管理費、食費が含まれます。ほとんどの部屋がワンルームタイプですが、法令で各部屋の床面積は25平方メートル以上と定められています。入居一時金は特に設定されていませんが、賃貸物件と同様敷金と連帯保証人が必要です。

メリットは、入居者が自宅にいた頃とそれほど変わらない暮らし方ができる点です。特養や老人ホームと比べて入居者の自由度は高く、外出や外泊も可能です。また、介護認定を受けていない高齢者でも入居できるのが強みとも言えるでしょう。

デメリットとしては、外部の介護サービスを利用するため、基本的に重度の要介護者には対応していないことが挙げられます。

そのため、自立している方や要介護度が低い方で、自宅と変わらない暮らしを送りたい方に向いている施設と言えます。

入居費用を抑えられるさまざまな軽減措置

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各自の予算に見合った施設を選ぶことは大事です。施設に入居した場合、毎月一人につき10~25万程度の出費が生じますが、支払いが厳しい家庭のためにいくつかの費用軽減措置があるのでうまく活用したいところ。適用には条件があるためケアマネージャーや役所の担当者に相談するようにしましょう。

例えば、介護保険三施設(特養と介護老人保健施設(老健)、介護療養型病床)の場合、入居者とその家族の世帯年収に応じた負担限度額の引き下げが可能で、「負担限度額認定」と言います。

特養で毎月発生する食費や光熱費の一部が介護保険でまかなわれるようになり、結果的に自己負担額が減るというわけです。世帯全員が年金受給者の場合や生活保護を受けている場合などいくつか条件はありますが、事前申請により軽減措置が取られるようになります。

また、世帯での介護サービスの自己負担額が一定の金額を超えた場合に料金の一部が還付される「高額介護サービス費」という制度もあります。

今後も続く出費を考え、マネープランは計画的に

施設に入居するにあたり注意したいのが、費用を長期にわたり払い続けなければいけないという点。

入居者本人にその支払い能力があるのかどうかが一番の大きなポイントになりますが、経済状況によっては子どもや兄弟が負担するケースも考えられます。高額の施設に入居する場合は自宅などの資産を売却し入居資金を調達するケースもあると思いますが、そのことに対しても家族の理解を得ることも必要です。

人生の大きな選択となることでしょうが、本人の意思や希望はもちろん、家族同士よく話合って、それぞれが納得できるように準備をしておくことが大切です。