地域のサポートが介護の負担を未然に防ぐ!厚労省が推進する「介護予防事業」

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家族が重度の要介護状態になってしまった……。そのとき、家族にのしかかるのは精神的ストレスとともに、長時間にわたる拘束、そして多額の介護サービス費。

もちろん仕方がないこととはいえ、介護を事前に予防できるならばそれが一番でしょう。そこで今回は「介護予防」のために厚生労働省がおこなっている取り組みを紹介します。両親が要介護状態になる前に、予防として取り組めることがあることを学んでいきましょう。

介護予防には「サービス」としての側面と「事業」としての側面がありますが、今回は「事業」についての説明をします。「サービス」としての側面は、要支援1・2の方が受けられる「介護予防サービス」として以下の記事で紹介されていますので、ぜひこちらも目を通してください。

「要介護2」ならデイサービスは週何回?要介護度別 利用サービスまとめ

従来の介護予防。高齢者全員を対象にした「一次予防」と、生活機能が低下している高齢者が対象の「二次予防」

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まず、従来の介護予防支援事業にはふたつの意味があったことをご説明しましょう。

ひとつ目は、65歳以上の高齢者全員を対象とした「一次予防」と言われる施策です。介護についての講演会など、介護を事前に予防するための啓発運動や、介護ボランティアの育成などを指します。

ふたつ目は、生活機能の低下が認められ、将来的に介護が必要となる恐れがある高齢者を対象とした、「二次予防」です。こちらは「一次予防」よりも、実際の介護サービスに近い内容となります。利用者は施設に通ってマシンによるトレーニングを受けたりして、要介護状態にならないよう回復を図ります。

この「一次予防」と「二次予防」を区別せず、地域の実情に応じて捉えなおそうというのが、現在取り組まれている「介護予防・日常生活支援総合事業」の動きなのです。

体操教室、サロン、ボランティア……。自治体が主導する介護予防事業の取り組み

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では、介護予防・日常生活支援総合事業として、具体的にどのような取り組みがおこなわれているのでしょうか。これまでに全国の市町村で実際に行われてきた内容と、厚生労働省が掲げるロードマップをもとに、その概要を見てみましょう。

1. 体操教室の開催

理学療法士らの主導のもと、定期的に体操教室が開催されています。要介護や寝たきりを防ぐためには、体を動かし筋力をつけることが一番。普段使う筋力を維持・増強することができます。また、そればかりでなく、自らの意志で自発的に参加することで社会との接点が生まれ、日常生活の中でのメリハリや目的意識を持つことにもつながります。

2. 集いの場(サロン)の形成

徒歩圏内で近隣の高齢者が集まれるような場所で、お茶会やワークショップなどを開いて交流の場を設けるものです。町内会の集合所などが近くにない場合は、代表者の自宅を開放して行われることもあります。楽しくおしゃべりするばかりでなく、料理や陶芸、楽器の演奏などといった動作は、指先の神経も使い脳への刺激にもなります。

3. ボランティア、NPO団体による高齢者支援の参画

厚生労働省は、地域の学校、企業や有志団体による介護予防事業へのボランティアの参画に期待を寄せています。重度の要介護者には、十分な知識と経験を持ったプロのヘルパーの力が必要となりますが、要支援や自立の高齢者であれば、簡単な日常の生活支援だけでも十分に対応できます。

しかしボランティアの参画に関しては課題もあります。第一に、やはり経験の浅い人が介護指導をおこなうと、予防サービスの質が担保できないことです。それどころか、小さなミスが重大な事故につながってしまう可能性もあります。第二に、地域によってはNPOやボランティア団体が存在しないということです。都市部と地方とで予防事業の充実度に大きな隔たりができてしまうのです。

地域包括ケアで支える、これからの介護

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これからの介護予防事業は、「地域包括ケア」の概念がその基盤となっています。「地域包括ケア」とは、介護が必要になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムの構築を実現するというものです。

そのためには、地域の病院や福祉施設、そのほかのさまざまなコミュニティとの結びつきは、今後の高齢化社会を考える上で、切っても切り離せないものになることは間違いありません。地域の一員であるという自覚を持ちながら、介護に対して積極的に参画していきたいものですね。

参考文献
介護予防(厚生労働省HP)
介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案(概要)(厚生労働省老健局振興課)