【被害多数!】認知症の高齢者からのセクハラ。介護する女性はどう対処すべき?

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高齢者の介護において、女性が男性を介護するときに発生する問題が、「セクハラ」です。主婦や女性のホームヘルパーが、男性高齢者の身体介助中に胸やおしりを触られたり、性的な発言を投げかけられたりするケースがあり、介護現場ではしばしば問題となっています。

場数を踏んだプロのヘルパーならば、セクハラへの対処の仕方も多少は心得ているでしょう。しかし、在宅で家族の介護をしている方はそうではないことが多く、一人で抱え込んでしまう人もいます。

もちろん、すべての高齢者がセクハラをするわけではありません。しかし、もしも予期せぬセクハラを受けた場合、ショックを受けて、介護への恐怖心が生まれてしまうこともありえます。それを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。

今回は、介護者に対するセクハラが起きる理由と、その対策法について考えてみます。

高齢者のセクハラの主な原因は“認知症”

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介護におけるセクハラの多くは、認知症が原因です。認知症によって判断力の低下が起こり、その女性に対しての何らかの想いが暴走してしまったり、そもそも女性に対する嫌がらせを悪いことだと自覚していなかったりして、セクハラが起こる場合があります。

あくまで一例ではありますが、二人の高齢者の例を紹介します。ひとりは、奥さんを早くに亡くした方で、再婚せずに一人で過ごしてきた時間が長く、募るさみしさへの反動から介護者の女性に対して性的な行為に及んでしまったケースです。ご本人に嫌がらせをしようという意図はなく、胸に抱えていたさみしさが引き金となって、セクハラを起こしてしまいました。

もうひとりの例は、いわゆる一般の会社員よりも地位の高い役職に就いていた人が、介護者の女性に対してセクハラをしてしまったケースです。ご家族によくよく話を聞くと、この方は若い時から勉強に明け暮れ、就職してからも他人の目が気になり、あまり遊びをしてこなかったそうです。若い頃の反動が、認知症による判断力の低下により出てしまうのかもしれません。

エスカレートしても、ひとりで抱え込んでしまいがち

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介護中のセクハラは、認知症の進行の影響もありますが、しだいにエスカレートしていく傾向があります。

初期は性的な発言を投げかけたり、介護者である女性に抱きついたり、体を触ったり……といった言動がよく見られます。それがしだいに風呂場をのぞかれたり、洋服がしまってあるタンスの中を開けられたりと、どんどんエスカレートしていくのです。また、歩行困難でベッドの上にいる時間が長い高齢者でも、腕力だけはしっかりしていて、抱きしめたまま離してもらえないことや、無理やりベッドに引きずりこまれることもあります。

ただし、こういった言動を注意しても、高齢者は自分が何をしたのかも覚えていない、また注意されたことすらも忘れてしまうケースも多々あり、対応に苦慮する女性は後を絶ちません。

施設に入居している高齢者の場合、施設からの退去やサービスの利用停止を言い渡されるなどのトラブルが散見されるようにもなってきています。また、在宅の場合、被介護者が実父ではなく義父の場合、立場的に注意しづらい、関係が気まずくなるため夫には報告できないというジレンマを抱えてしまいがちです。

冷静に対処することが何よりも大切

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セクハラが起きた場合の対処法ですが、まずは、冷静にやめるように伝えることです。被害を被っている立場としては、心中穏やかでいられないことでしょう。ですが、ここでヒステリックに注意してしまうと、「自分は嫌われた」と勘違いして、塞ぎ込んでしまう方もいます。また、面白がってさらにセクハラ行為をエスカレートさせる方もいるので、努めて冷静に振舞うことが重要です。

また、テレビや外の風景など、ほかのものに注意を向けさせるのもひとつの手。「あれはなんだろう?」などと言って、自分以外に目を向けさせましょう。 

もしほかに家族がいれば、その家族に介護の手伝いをしてもらうことも有効です。同性ならばセクハラ被害もほとんど起きませんし、女性が介護をおこなう場合でも複数人という状況であれば、セクハラ的な言動はしにくくなります。

おわりに

自宅でひとりで介護をしている場合、セクハラなどの被害にあっても、問題を抱えこんでしまいがちで対処も難しいことでしょう。

あまりオープンにしたくないデリケートな問題かと思います。しかし、医師やケアマネジャー、家族や友人など、周囲の人に相談して、状況を理解してもらうことが問題解決への第一歩です。

参考文献:『人を語らずして介護を語るな。masaの介護福祉情報裏板』菊地雅洋著 ヒューマン・ヘルスケア・システム発行