もしかして認知症?そう思ったら確認しておきたい、初期症状のチェックポイント

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動作の一つ一つが遅くなったり、人の名前を思い出せなくなったりと、人間は年をとるとともにあらゆる機能に衰えが見えるようになります。

もちろん加齢による影響だけならば、自然の摂理として納得することができるかもしれません。問題は、その症状が認知症によるものだった場合。認知症は通常の老いよりもさらに人間の機能を低下させます。もし気づかずに放置していれば、例えば認知症の代表的な症状のひとつ、「徘徊」によって大事故につながる可能性だってあります。

そこで今回は、認知症と疑わしい初期症状の特徴をご紹介します。もし家族に同じような兆候が見られる場合は注意が必要です。

こんな場合は要注意!代表的な認知症の初期症状

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認知症の初期症状に見られる兆候は以下のようなものがあります。

同じことを何度も繰り返し言う

脳の機能が衰えてくると、直前に起こったことや話した内容の記憶が難しくなり、同じ内容の発言を繰り返すようになります。独り言のようにつぶやくだけならまだよいかもしれませんが、「外の天気は雨かい?」「今日は仕事休みなのかい?」などと質問を繰り返すようにもなります。

食事したことを忘れる

認知症の人によく見られるのが、食事したことを忘れて「ごはんはまだ?」と聞いてくることです。「さっき食べたでしょ」と返答して納得してもらえるならばよいのですが、本人がどうしても腑に落ちない様子を見せるようであれば注意してみましょう。

感情の起伏が激しくなる

突然急に怒り出したり、逆に塞ぎ込んだりと感情の起伏が激しくなることがあります。例えば、今まで熱心に打ち込んでいた趣味に対し急に無関心になるなどの兆候が見られる場合は注意が必要です。

外出しても自力で帰宅できない

散歩や買い物などで外出しても、自宅の場所が思い出せなくなり帰宅できなくなる場合、認知症を発症している確率が高いと言えます。このように日付、時間、場所などが認知できなくなる症状を「見当識障害」と呼びます。地域によっては宅地造成など急激な再開発が進み、周囲の景色の変化に惑わされてしまうことも原因の一つかもしれません。

作業を完遂せず、やりかけのまま忘れてしまう

何か一つの作業に没頭していても、別のことに関心が移ればやりかけのままにして別の行動に移ることがあります。

部屋を散らかす

認知症が進行し記憶力が著しく低下すると、物をしまった場所が思い出せなくなります。そのため一旦探し物を始めると、タンスの棚から押入れの中まで、部屋の隅から隅までを探すようになります。探し物を見つけ出すまでは不安な気持ちでいるため、散らかした物を元に戻す、片づけるといった余裕はありません。

認知症のなかでも特に患者数の多いアルツハイマー病の症状についてはこちら
アルツハイマー型認知症の症状・チェックリスト・家族の対応方法

離れて暮らす家族の様子にも気を配る

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以上ご紹介したように、高齢者と一緒に暮らしていると、普段の会話、動作の中で異変に気づくシチュエーションがいくつかあります。同居している場合は、細かな変化を敏感に察知することができますが、離れて暮らす場合でもさまざまな“気づき”のポイントを見逃せません。

久々に家に行くと部屋がホコリだらけだったり、洗濯物が山積みだったりと、身辺の整理・整とんがきちんとできなくなっているような場合は注意が必要です。こちらの話しかけに対しても、返答に時間がかかったり、ポカンとうわの空だったりする場合も認知症の初期症状である疑いが強いと言えます。

一人暮らしならば一日中誰とも会話をしない日もあることでしょうし、脳への刺激が少なければ、その分、認知症の進行が早くなることもあります。

一緒に暮らしているからこそ気づくこと、離れて暮らしているからこそ気をかけなければいけないこと。各家庭によって事情は異なるでしょうが、高齢者を抱える家族にはさまざまな配慮が必要なのです。

少しでも疑わしい場合は、早期の受診を

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ではもし認知症の疑いがあった場合は……? まずは早急に病院で検査を受けましょう。その症状がただの加齢によるもの忘れなのか、それとも本当に認知症なのかは医師の診断を経なくてはわからないものです。

認知症で最も多いアルツハイマー型認知症の場合、その進行は比較的ゆるやかなものですが、完全な治療が難しいことからも、できるだけ早期に発見して対策を打つ必要があります。日ごろお世話になっているかかりつけ医がいる場合、まずはそこで診察してもらい、より詳細な検査が必要な場合は紹介状を書いてもらい大きな病院で診察を受けましょう。

認知症の診断には、一般的に「長谷川式認知症スケール」が用いられます。これは「あなたの年齢はいくつですか?」といった初歩的な質問に始まり、計算式や暗記などを回答していく知能評価テストです。30点満点で20点以下だと認知症の疑いがあるとされています。

その他にも、最近では、CTやMRIで脳の形状を測ることが可能になり、脳の萎縮が見られるアルツハイマー型認知症の発見が容易になりました。同時に脳腫瘍や脳出血といった症状も発見できるため、認知症検査と併せて確認しておきたいところです。また、脳の血流を測る「SPECT」、脳の代謝を測る「PET」といった検査もあり、これらも認知症の早期発見につながります。

ただし、SPECTやPETは、保険適用(1割負担)の場合でも、個人負担額が1万円前後かかります。CTやMRIの費用も合わせ、検査にはそれなりの出費がかかることも頭に入れておきましょう。

早期発見が家族の余生のあり方を決める

検査の結果、認知症と判断されれば、誰でも大きなショックを受けることでしょう。しかし現在は薬により認知症の進行を遅らせることが可能になりました。また、薬に頼るばかりでなく、テキストを用いた脳トレや、指先や全身を動かすことで老化の防止につなげるエクササイズなども登場しており、さまざまな面で認知症対策が講じられています。

認知症は、早期発見が、その方の余生のあり方を決めます。いつの間にか症状が著しく進んでいた……とならないためにも、普段から家族の様子に気を配るようにしましょう。

参考資料・文献
『U-CANの認知症介護マニュアル』ユーキャン学び出版 認知症介護研究会編