認知症家族のストレスを軽減する「認知症カフェ」と「認知症の人と家族の会」

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高齢化社会を迎える日本。2025年には前期高齢者にあたる65歳以上の人口が3,500万人超になると言われており、日本人の約3人に1人が高齢者になる計算になります。

高齢者が増えればそれに比例して認知症になる人の数も増えることが予想されます。このまま行けば社会福祉だけで認知症患者の日ごろのケアに当たるには限界があり、認知症患者の家族の責任と負担は増すばかりです。

今回は、認知症の方を抱える家族が知っておきたい情報について触れてみたいと思います。「介護は自分一人で頑張るしかない」と思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。あなたを支える仲間が、全国にはたくさんいることを知れるはずです。

全国規模で広がる「認知症の人と家族の会」で情報共有を

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公益社団法人「認知症の人と家族の会(以下、家族の会)」では、認知症に関する相談受け付けや会報誌やセミナーによる情報の発信をおこなっています。「認知症」という言葉が一般的になる前の1980年から活動を展開している、歴史ある団体です。

全国47都道府県に支部を構えているのも大きな特徴で、困ったことがあれば最寄りの支部へすみやかに連絡できる安心感があります。全国で1万1,000人ほどが会員登録しており、実際に認知症と診断された人や日々の介護に当たる家族が名を連ねています。ただし、入会規制は特になく、誰でも会員になることができます。

家族の会のホームページには「励まし合い、助け合って」という言葉が見られますが、認知症で悩める人同士が交流し情報交換をおこなう機会を提供するのが、家族の会の役割の一つでもあります。認知症への正しい知識を身に付けることはもちろんですが、そればかりでなく、自分と同じような境遇の人と話すことで少しでも楽になってもらいたい。そんな交流の場としても機能しているのです。

介護保険制度ができる前の日本では、高齢者の介護は家庭内の問題として扱われてきた歴史があります。介護の苦労を人前で話すことは、その家の負の部分わざわざ口外するようなものでタブー視されてきたのです。しかし認知症患者が増え、介護サービスの拡充とともに介護は家庭内の問題から社会全体で取り組むべきテーマとして認知されるようになってきました。

決して一人で抱え込むことなく、仲間同士で励まし合い、助け合って日々の介護と向き合えるような土壌が作られているのです。

気軽に通える、集える「認知症カフェ」

また、全国各地で高齢者とその家族が気軽に利用できる「認知症カフェ」も注目されています。認知症カフェは、文字どおり利用者に軽食やお茶を提供してくれる場所で、社会福祉法人やNPO団体などが運営母体となりサービスを行っています。

もともと認知症カフェは、厚生労働省が2015年に策定した「新オレンジプラン(認知症施策推進5か年計画)」を受けて開設が進められており、高齢者を地域社会全体で見守ろうとする「地域包括支援」の取り組みと合致しています。

利用者は主に軽い認知症と見られる人や、認知症になる前の初老の人が多く、サービスの内容としては飲食を安価で提供してくれるほか、手芸や料理といった趣味の教室、流行の脳トレや簡単なエクササイズなどのサービスを提供しています。

当然家族が利用することも可能で、認知症を理解するための勉強会やカウンセリングなども実施しています。料金は施設や地域、材料費の有無によって異なりますが、おおよそ1回の利用あたり300~500円程度で利用できます。

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認知症カフェについて情報が知りたい場合は、お住まいの市町村の役所窓口(福祉課など)や地域包括支援センターなどに問い合わせてみましょう。自宅から最寄りの場所がベストかもしれませんが、運営母体によって提供してくれるサービスも異なるので、一つ一つ比較して選びたいところです。

カフェ自体も一軒家を改修したアットホームな雰囲気でくつろげるところもあれば、病院や介護施設の一室を開放した、アクティビティに力を入れているところもあり、場所により様々で、オープンする日時も異なるので、事前にカフェの案内板やホームページなどで確認しておく必要があります。

ただ、デイサービスなどの通所介護は、基本日曜日はお休みですが、認知症カフェは日曜や祝日にやっているところもあります。こういった休日オープンの施設をうまく利用できれば、介護者家族も休日にリフレッシュできるかもしれません。

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被介護者だけでなく、家族に対するケアも重要

介護サービスや地域包括支援が定着しつつある現在でも、よほど大変な介護や高度な医療を必要とする場合でないかぎり、介護の権限や責任はやはり家族にあると言えます。

しかし家族一人ひとりにも生活があり、一日のすべてを被介護者に費やすことは不可能です。そのために家族介護者に対しての「レスパイト(介護から解放される期間)」の重要性が説かれています。

認知症への理解が徐々に進み、さまざまな悩みや問題を共有できる社会へと変わりつつあります。今回紹介した機関やサービスを積極利用して、被介護者・家族ともにストレスの少ない安心して暮らせる社会を目指していきたいものです。