介護療養型医療施設が廃止され、介護医療院へ。日本の介護施設はどう変わるのか?

2017年度末で廃止されることになった介護療養型医療施設(療養病床)(2024年3月末までの移行期間が設けられている)。介護療養型医療施設とは、「介護療養病床」と「医療療養病床」があり、「介護療養病床」は、特別養護老人ホームと老人保健施設と同様に介護保険で入居できる公的な施設サービスです。一方で「医療療養病床」は医療保険が適用されます。

◎介護療養型医療施設の詳細はこちら
https://kaigosupporters.com/beadhouse/kaigo-ryoyo/

介護療養型医療施設は、医療を必要としなくなった時点で、転出もしくは退所することを想定していましたが、長期間に渡る入所者が多数占めている状況がつづき、以前より医療費や社会保障費の圧迫が指摘されていました。

超高齢化社会を迎え、施設不足、財政逼迫など多くの問題を抱える日本において、介護保険が適用される公的施設がどのように変化するのか?現在、ご家族が介護療養型医療施設に入所されている方はもちろん、これから老後を迎える方、ご家族にとっても気になる話題です。今回は、介護療養型医療施設の現状とその後の新施設について紹介していきます。

介護療養型医療施設の現状と廃止への流れ

療養病床の現状

介護療養型医療施設は、あくまで医療施設であり、主に医療法人によって運営されています。介護保険が適用されるという「介護療養病床」は、長期的に介護療養が必要な患者。医療保険が適用される「医療療養病床」は、長期的に医療療養が必要な患者という位置づけでしたが、国の調査で、『「介護療養病床」と「医療療養病床」の利用者の状況に大きさが見られなかった』という報告がなされました。つまり、医療と介護が明確に区分されることなく、介護療養型医療施設が利用されている現状が明白になりました。

また医療施設であるにも関わらず、介護保険が適用されていた“ねじれ”の問題も表面化。

そのため、厚生労働省は2006年の時点で、2011年度末までに「介護療養病床」の廃止と新しい介護保険施設の設置を決定。医療と介護の役割を明確に分けることが目的としていましたが、「介護療養病床」の新施設への転換が進まなかったことを理由に、2017年度末まで期間が延長されることになりました。

現在の「介護療養病床」と「医療療養病床」の現状と2017年末で廃止される項目は以下になります。

◎介護療養病床……約5.9万床(2024年3月末まで移行期間を設置)
◎医療療養病床……約21.6万床のうち、看護師の配置基準が25対1の約7.2万床
(※1)

約13万床が廃止される予定となっております。では、新しい施設として、どのようなものが考えられているのでしょうか。また介護難民などの懸念はないのでしょうか?2017年5月に成立した「改正介護保険法」をもとに、新しく「介護医療院」が創設されることやその基本設計が徐々に明らかになってきました。

受け皿となる3種類の新施設とは?

介護医療院はどのような施設か

厚生労働省では、新施設である「介護医療院」を以下の機能を兼ね備えるものとして2018年度の創設に向けて動いています。

①「日常的な医学管理」と「看取り・ターミナルケア」等の医療機能
②「生活施設」としての機能

(※2)

つまり「介護医療院」は、「医療機能」「介護機能」「生活施設」を備えた介護保険施設ということです。

また介護医療院の概要は以下の通りです。

 名称 介護医療院
※ただし、病院又は診療所から新施設に転換した場合には、転換前の病院又は診療所の名称を引き続き使用できることとする。
 機能  要介護者に対し、「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を 一体的に提供する。
(介護保険法上の介護保険施設だが、医療法上は医療提供施 設として法的に位置づける。)
 開設主体  地方公共団体、医療法人、社会福祉法人などの非営利法人等

(厚生労働省「「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律のポイント」より抜粋)

上記の点を踏まえた介護医療院の基本設計は下記の通りになります。

  介護医療院   医療外付け型
(居住スペースと医療機関の併設)
 (Ⅰ)  (Ⅱ)
基本的性格

要介護高齢者の⻑期療養・⽣活施設

設置根拠(法律)  介護保険法
※生活施設としての機能重視を明確化。
※医療は提供するため、医療法の医療提供施設にする。
医療機関⇨医療法
居住スペース⇨介護保険法・老人福祉法
※ 居住スペースは、特定施設⼊居者⽣活介護の指定を受ける有料⽼⼈ホーム等を想定 (介護サービスは内包)
 主な利用者像  重篤な身体疾患を有する者及び身体合併症を有する認知症高齢者 等 (療養機能強化型A・B相当) 左記と比べて、容体は比較的安定した者 医療の必要性は多様だが、容体は比較的安定した者
 施設基準(最低基準)  介護医療院相当
(参考:原稿の介護療養病床の基準)
医師 48対1(3人以上)
看護 6対1
介護 6対1
老健施設相当以上
(参考:現⾏の⽼健施設の基準)
医師 100対1(1人以上)
看護・介護 3対1
※うち看護2/7程度
(参考:現⾏の特定施設入居者生活介護の基準)
医師 基準なし
看護・介護 3対1
※看護職員は、利⽤者30人までは1人、 30人を超える場合は、50人ごとに1人 ※医療機関部分は、算定する診療報酬による
面積  ⽼健施設相当(8.0 ㎡/床) ※ 多床室の場合でも、家具やパーテーション等による間仕切りの設置など、プライバシーに配慮した療養環境の整備を検討。 (参考:現⾏の有料⽼⼈ホームの基準)
個室で13.0 ㎡/室以上
※ 既存の建築物を転用する場合、個室であれば面積基準なし 
 低所得者への配慮 補足給付の対象

(厚生労働省『第5回療養病床の在り方等に関する特別部会 資料』をもとに作成)

●介護医療院(Ⅰ)・(Ⅱ)

ともに介護保険法が適用される施設となります。要介護高齢者の長期療養・生活施設の性格を持っており、(Ⅰ)は“介護療養病床相当”の医療ケアを重視した施設となりそうです。また(Ⅱ)は、施設基準が“老健施設相当以上”となっており、(Ⅰ)より看護・介護の人員基準も手厚くなっております。また現行の面積が6.4㎡/床だったのに対して、8.0㎡/床と広くなっており、より生活施設としての性格が強くなっています。

●医療外付け型(居住スペースと医療機関の併設)

居住スペースは介護保険法・老人福祉法が適用され、医療機関は医療法が適用されます。個室が基準となっているように居住スペースは、有料老人ホームが想定されており、多様な医療の必要性ですが、比較的安定している高齢者が対象となっています。

このように2018年度からスタートする「介護医療院」は、介護と医療の双方において、より利用者のニーズに合わせた施設となりそうです。

介護難民は生まれないか?新制度への懸念点

新制度の心配な点

長らく懸念されていた「介護難民」の問題に関しては、段階的に議論を重ね、進行をしてきたことで、大きな混乱を招くことはなさそうです。「介護療養病床」については、新たに6年の経過措置期間が設けられ、2024年3月までが期限となっています。

懸念点はある程度のガイドラインは固まってきたものの、まだまだ介護保険と社会保険との折り合いや、可能な限りの「在宅介護」を後押しする意見もあります。介護保険が利用できる公的施設の拡充は誰もが望んでいることではありますが、病院や介護施設で勤務している人にとっても納得する形にする必要があります。

また現段階では、2018年度にどれだけ転換できる施設があるかは不透明です。今後の日本の介護事情を大きく左右する問題だけに、新しい施設の特徴をよく理解して、納得のいくサービスを受けられるようにしておきましょう。

○有料老人ホームを探すなら、比較・検討サイトがおすすめ
老人ホームの比較検討サイト「探しっくす」は全国の有料老人ホームのほか、サ高住やシニア向け分譲マンションの情報を掲載しています。エリアや費用など、条件に合わせた検索ができるほか、資料請求もできますので、ぜひご活用ください。

探しっくすロゴ

https://www.sagasix.jp/

※1厚生労働省「介護療養型医療施設及び介護医療院(参考資料)」
※2厚生労働省「介護医療院について他」

入居相談のプロが教える、
有料老人ホームの費用をお得にするコツ

家族が病気で介護を必要とするようになったり、在宅介護を継続できなくなったりするときに考 える、有料老人ホームの利用。しかし、そこで多くの方の前に “壁” となって立ちふさがるのは、「費 用」の問題です。

値段は施設によって異なりますが、数百万円の入居一時金(入居の際に支払うお金)と月額約 20 万円の施設利用料を「高い」と考える方は少なくないはず。入居する家族の貯蓄や年金でこの費 用をまかなうことができず、在宅介護を余儀なくされるケースもあるでしょう。

そこで、この無料EBookで、誰もが使える老人ホームの費用を少しでも安くする方法を解説します。 ぜひダウンロードして、老人ホーム選びの際にお役立てください。