施設だけが選択肢ではない。「居宅介護支援」で自宅での介護を継続しよう

現在、特別養護老人ホームは入居希望者の多さから、申し込んですぐに入れる施設はほぼ皆無。重度の要介護者(原則要介護3以上)しか入所できません。また、一般の有料老人ホームは入居一時金や月々にかかる費用が高額になったりと、経済的負担が大きいのも事実。

そのため現在日本では、自宅で生活しながら、必要に応じて通所介護や訪問介護、短期入所介護といった介護サービスを適時受けられる「居宅介護」が推奨されています。

今回は大切な家族とできるだけ長く一緒に暮らしながらも、日常の介護にあたる家族への負担やストレス軽減を両立する居宅介護支援についてご説明します。

ケアマネジャーの決定をもとに、居宅介護支援

介護サービスを受けるためには「ケアプラン」が必要です。利用者はまず居宅介護支援事業者のケアマネジャーにプランの作成を依頼することになります。依頼を受けたケアマネジャーは被介護者に対してヒアリングをおこない、当人にとって最適なケアプランを提示。そのケアプランをもとに各介護サービスが進められていきます。

詳しいサービスの内容は後述しますが、要介護度が高いほどサービスを受けられる日数と時間は多くなります。

要介護度別に受けられるサービスについてはこちらの記事もどうぞ
「要介護2」ならデイサービスは週何回?要介護度別 利用サービスまとめ

ケアプランをもとに受けられる介護・生活援助サービス

では高齢者は居宅介護支援によってどのようなサービスを受けられるのでしょうか? 以下に代表的なサービスを紹介します。

訪問系

pixta_21721046_M

訪問介護

訪問介護では、定期的にホームヘルパーが自宅を訪れて身体介助や生活支援をおこないます。

身体介助では食事介助、着替え、排せつ介助などがメインとなります。生活援助については、買い物、部屋の清掃、衣服の洗濯、通院の付き添いなどその介護内容は多岐にわたります。一人暮らしの高齢者がいる家族にとっては、安否確認の意味も含めて心強いサービスだといえるでしょう。

訪問入浴

訪問入浴とは、浴槽や給湯設備を搭載した自動車で各家庭を訪れるサービスです。上記で述べた訪問介護は通常ヘルパーひとりの体制ですが、入浴サービスは一般的に、3人1組のチームでおこなわれます。寝たきりの高齢者をひとりで入浴介助するのは危険を伴うためです。

訪問看護

訪問看護サービスは医療法人などによりおこなわれ、外出が難しい高齢者や血圧、体温などこまめなバイタルチェックが必要な高齢者に欠かせないサービスです。自宅を訪れての健康状態の診察から認知症ケア、リハビリまで24時間体制でのサービスが提供されます。

ただし、その援助はあくまで生活していくうえで必要不可欠な援助に限られるので、訪問介護を依頼する立場として注意すべき点もあります。

たとえば庭の草むしりや犬の散歩のように、本人のケアと直接関係のないものや急を要さないものはNGです。同時に、訪問ヘルパーは決められたタイムテーブルに従って複数の家庭を巡回するため、決められた時間をオーバーしてはいけません。ヘルパーに対して世間話を持ちかけたり、ケアプランの内容以外のサービスをお願いしたりすることはできる限りつつしみましょう。

通所系

pixta_25541765_M

通所介護(デイサービス)
通所介護、いわゆるデイサービスでは、高齢者は通所介護事業所に通ってレクリエーションや食事、入浴などのサービスを受けられます。自宅から事業所までの送迎もサービスに含まれるうえ、日中はほとんどの時間をデイサービスで過ごすため、その間家族は自分の用事を済ませられます。

事業所選びにおいては、レクリエーションや雰囲気にも事業所独自の特色があり、利用者の嗜好にあわせることが重要になります。

また、訪問介護にはない魅力として、ほかの利用者とのおしゃべりや触れ合いなどもあります。仲のよい友人ができれば、それだけで介護サービスを利用するモチベーションにもつながります。ただ、場の雰囲気になじみにくい人もいるので、利用者本人の意思に反して通所を無理に勧めるのは避けるようにしましょう。

通所リハビリ(デイケア)
デイケアは、デイサービスのような通所型ですが、さらに機能回復訓練(リハビリ)に特化したタイプです。理学療法士や作業療法士といった専門家が常駐し、本人の体調や運動能力に応じたプログラムを組んで指導に当たります。立つ・歩くなどの運動機能の回復にとどまらず、発生や発語の訓練、嚥下機能の向上についてもケアをします。

デイケア・デイサービスについてはこちらの記事もどうぞ
【嫌がったときの対処法付き】デイケア・デイサービス利用の手引き

短期入所系

pixta_25546145_M

短期入所生活介護(ショートステイ)

集中的に機能回復訓練をおこないたいときや、家族が数日間家を空けなければならないときに、短期間(最大で連続30日間)高齢者が施設に入所できるサービスが短期入所生活介護(ショートステイ)です。特別養護老人ホームや有料老人ホームといった、施設系・居住系の法人(事業者)が、建物の一部を開放して運営していることが多いようです。

人気が高く、利用したい日に部屋が空いていないことがよくありますので、冠婚葬祭などずらせない催事でお願いしたいときは、できるだけ早くケアマネジャーに申し込みの意向を伝えるようにしましょう。

ショートステイについてはこちらの記事もどうぞ
高齢者も介護者もリフレッシュ!在宅介護の強い味方「ショートステイ」

終わりに ~居宅介護支援を活用しながら、無理のない在宅介護を実現する

高齢化社会を迎える日本では、とくに都市部での介護施設入所希望者の待機人数の多さが社会問題となっています。

そのため、施設にどうしても頼れない場合は、居宅介護支援の仕組みをうまく利用しましょう。介護者の負担を極力軽減して、無理のない在宅介護を続けましょう。

■参考文献
居宅介護支援 ケアマネジメント(厚生労働省)
サービス利用までの流れ(厚生労働省)
公表されている介護サービスについて(厚生労働省)