重度の認知症でも通所OK! 「認知症対応型デイサービス」の強み

デイサービスは、利用者のニーズに合わせて気軽に利用できる介護サービスですが、重度の要介護者はサービスの利用を断られる(別の介護サービスの利用を勧められる)ケースもあります。認知症も同様で、認知症の症状が著しい高齢者は、通常のデイサービスではなかなか受け入れてくれないのが現状です。

そんな中、重度の認知症のケアに特化したデイサービスがあることをご存じでしょうか? 今回は認知症高齢者のための「認知症対応型デイサービス」についてご紹介します。

認知症対応型デイサービス。通常のデイサービスとはどこが違う?

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まずは、認知症対応型デイサービスの特徴について見ていきましょう。通常のデイサービスとはどう違うのでしょうか。

認知症患者に対応している

通常のデイサービスは、要支援または要介護の認定を受けた高齢者がサービスの利用可能な対象者となります。認知症対応型は、これに加え認知症と診断された人が対象となります。

定員が12名以下

通常のデイサービスは、利用者の定員基準がありません。しかし認知症対応型は、利用定員が12名以下と定められています。

認知症に理解の深い職員が対応している

良質な介護サービスには、熟練されたスタッフの力が不可欠です。認知症対応型は、介護の経験豊富なスタッフが対応しているケースが多く、これまでに数多くの認知症高齢者のケアをしてきた実績があります。

すべての事業所が「地域密着型サービス」である

「地域密着型サービス」とは、2006年の介護保険法改正時に策定されたカテゴリーで、事業所指定を従来の都道府県から市区町村へと移管し、高齢者が将来にわたり住み慣れた地域で、適切な介護サービスを受けながら暮らしていくことの支援を目的としています。しかし、原則住まいのある市区町村の事業所しか利用が認められないため、地域によっては認知症対応型の数が少なく、利用が限定されてしまうなどの問題点もあります。

「単独型」「併設型」「共用型」の3タイプがあり、通常のデイサービスと比べて利用料金は割高

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認知症対応型デイサービスは運営母体によって3タイプに分類できます。事業者が単独で運営している「単独型」、特別養護老人ホームなど社会福祉施設の一部を利用して展開している「併設型」、認知症グループホームなどの共有スペースを使い、その施設の利用者と一緒にサービスを受ける「共用型」があります。

利用料金に関しても、介護が手厚くなる分、通常のデイサービスよりも高めに設定されています。1日に滞在できる利用時間は3分割されており、3時間以上5時間未満、5時間以上7時間未満、7時間以上9時間未満とあります。利用時間が長くなるほど金額(単位)も上がります。また、上記の3タイプ別でも利用金額に差があり、単独型が最も高く、次に併設型、共用型と続きます。

認知症の方と長く接してきた経験こそが、認知症対応型通所介護の強み

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認知症対応型デイサービスの中でも、特に単独型の新規設立が目立つようになりましたが、ここに来て、新規参入事業者が相次いで廃業に追い込まれているのも事実です。経営者の実績の無さに加え、募集した職員の経験不足、また認知症への理解が乏しく教育できないといった問題が一気に露呈したことが原因と言えます。

群馬県太田市で認知症対応型デイサービスを運営する、株式会社アックスウェル代表の平出友久さんは「よいデイサービスの事業所」についてこう語ります。

「よい事業所には、必ず認知症に対する基本知識と経験豊富なリーダーがいて、きちんと現場統率をしています。とはいえ、認知症の症状は人によって異なるもので、その人のすべてを理解することは非常に難しいことです。サービスの提供についても、利用者一人ひとりに応じた事例検討を重ねた上で提供しています」

また、事業所の従業員についても、

「“認知症を理解する”ということは、座学や資格取得よりも、いかに多くの認知症の人と接してきたかが重要となり、知識よりも熱意や思いやり、そして粘り強さが求められます。職員の定着率についても、通常のデイサービスと同じ感覚で求人に応募した人は続かないようで、認知症利用者の言動や行動についていけず辞めていく人も多くいます」

とのこと。忍耐強く認知症利用者と接してきた経験豊富な職員によって、認知所対応型の事業所は成り立っているのです。

少人数で信頼関係を築くレクリエーション

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また、少人数ということもあり、大人数でのにぎやかな雰囲気になじめない人でもレクリエーションに参加しやすい環境にあるのも認知症対応型デイの特徴の一つでしょう。

「私の運営するデイサービスでは、利用者のみなさんで貼り絵を制作されています。こういった共同作業は、気の合う仲間同士で行うと会話が増えたり、今まで表情の硬かった人が少しずつ笑顔になったりと、その場の雰囲気がよくなる傾向があります。加えて職員が創作活動を手伝うことで、職員―利用者双方の信頼関係の構築や、肝心の“その人を理解する”糸口となる可能性があります」(平出)

事業所見学の際は、レクリエーション時の職員、利用者双方の表情や場の雰囲気などもよく観察して、本当に家族を預けて安心できるところなのか、確認しておくようにしましょう。

終わりに

デイサービスも各方面のニーズに合わせた多様なサービス形態が見られるようになりました。今回ご紹介した認知症対応型のほか、エクササイズのメニューを取り入れ機能訓練を重視した介護予防特化型や、同居する家族の介護負担軽減に寄与する夜間宿泊対応型などがあります。

地域密着型サービスへの移行で、事業者の整理が進み、利用しやすい環境になることが望まれますが、まずは利用を検討している事業所の環境や雰囲気、そしてスタッフの対応や経営状態など多角的にチェックすることが、家族が安心して過ごせるための事業者選びの第一歩となるはずです。