介護うつにならない・ならせないために、今一度見直したい“家族”としての役割

長期にわたり年老いた家族の介護にあたっていると、急な疲労や虚無感に襲われ、不安で何事も手につかなくなったり、夜眠れなかったりといった症状に陥ることがあります。こう言った症状は一般的に「介護うつ」と呼ばれ、介護者ならば誰でも陥る可能性を持っています。

近年、介護の疲れやストレスによって、家族が寝たきりの高齢者を殺害してしまうといった悲しいニュースが続いています。こういった事件は、介護者の憂うつな状態が改善されないまま、その延長で起こる悲劇と言えるでしょう。今回は、介護に携わる家族にどのような負担が生じるのかその現実と介護うつにならないための改善策を見ていきましょう。

慢性的な負担が引き金となって介護うつは起こる

介護うつとは、その名のとおり、介護が原因で発症するうつ状態を指します。ある程度の期間、家族の介護に携わっていると、「こんな生活がいつまで続くんだろう?」といった将来への漠然とした不安を覚えるようになります。また、介護を受ける方が認知症の場合、本人のためにおこなっているはずの介護を嫌がられたり、ひどいケースでは暴言や暴力となって介護者に降りかかってきたりします。

こう言ったことが積み重なり「献身的に尽くしているのに報われない」といった虚無感を覚えるようになると、やがて介護うつを発症してしまうのです。

介護うつの状態になると、「朝起きても気分が優れない」「趣味の時間も楽しんで取り組めない」「作業にも集中できない」といった症状が現れます。普段明るく社交的な人でも、別人のように抑うつ的になってしまう可能性も十分にあります。

特に、介護離職などをして家に引きこもりがちになり、介護者と要介護者二人の関係ができてしまうと、誰にも相談できずストレスだけが日々積み重なっていくのです。

夫/妻ひとり、子供ひとりに介護を集中させてはならない

pixta_22385729_m

年老いた家族の介護にあたる場合、主たる介護者はその配偶者または子どもになります。介護が必要な年齢に達するころには、子どもはすでに独立しているケースが多く、やはり配偶者が主な介護者になるでしょう。

しかし妻が夫を介護する場合、体位変換ひとつとっても、女性にとっては体力的に負担が大きいものとなります。さらに重度の認知症で夜中に暴れたり暴力を振るったりといった症状が見られるケースでは、女性が男性を取り押さえるには限界があります。「こんな思いをしてまで介護しなければいけないのか……」と精神的にも肉体的にも傷つき、介護うつの引き金となってしまうでしょう。

また、夫と妻の両方が介護が必要な場合あるいはどちらかが亡くなっている場合は子どもが主たる介護者になります。ここで注意したいのが、兄弟がいる場合、ひとりに介護の負担を集中させないようにすることです。もちろん、これは配偶者が介護をする際にも言えることです。

ひとりに介護が集中した場合、「なぜ私だけが面倒を見なければいけないのか……」という不満を抱え、介護うつになる可能性が非常に高くなります。

ある家庭では、両親と同居している長男が、骨折した父親の通院介助を週に数回、休日返上で行っていました。見かねた長女(両親と別居)が帰宅した際、気を遣って「気晴らしに一緒に食事でも行こう」と誘ったところ、長男は「そんな悠長なことを言っているヒマがあったら少しは手伝え!」と姉を怒鳴りつけたそうです。普段の状態なら「俺のことを気遣ってくれているんだな」と思うところですが、介護によるストレスは冷静な思考や相手の気持ちを推し量ることさえも失わせてしまうのです。

現実的に、遠方よりは近くに住む子ども、息子よりは娘が主たる介護者となるケースが多いようですが、兄弟全員に不公平が生じないよう、誰もが納得する形で介護に携わることが理想です。

「相談」「情報収集」「介護サービス」……介護うつ予防のためにできる3つのこと

pixta_22150948_m

人に相談する

一番は、親しい友人や近所の人に、自らが抱えている悩みを打ち明けることです。家庭の事情を人前で話すことは、なかなか勇気のいることですが、高齢化が進み、介護が必要な人が増えていることからも、意外なところで共通の悩みを抱えた人と出会えるかもしれません。

情報を集める

インターネットの普及により、数々のWEBサイトで認知症や介護についての情報を得られるようになりました。新聞や週刊誌も同様です。最近は福祉・介護を専門に扱う雑誌も増え、経済誌などでも特集が組まれる機会が多くなりました。

知らなかっただけで、実は国の制度を利用して経済的な援助が受けられたり、またストレスへの対処法もわかるかもしれません。正しい知識は、介護うつを乗り越える「力」となります

介護サービスを利用する

どうしても介護がひとりの手では負えない場合、介護サービスを積極利用しましょう。昼間受け入れてくれる通所介護サービス(デイサービス)、冠婚葬祭で家を空けなくてはいけないときなどに1日単位で利用できる短期入所生活介護(ショートステイ)などが代表的なサービスです。被介護者の介護度によって利用できる日数、時間が異なるので、ケアマネジャーと相談して適切な利用プランを作成しましょう。

離れていても、ちょっとしたメッセージが家族を助ける

pixta_22175809_m

あなたがもし介護が必要な家族から遠く離れていて、なかなかその手伝いができなくとも、できることはあります。それは、介護をしている家族と密に連絡を取ることです。

これは実際の話ですが、レビー小体型認知症の夫を持つ主婦がいて、遠方に住む3人の息子たちに頼ることなく自宅で介護にあたっていました。ときに不条理なことを言われたり、急に暴れる夫をなだめたりと、心身ともに疲れ切った状態でした。しかしLINE(スマートフォンで利用できる通信ツールのひとつ)を始めたことによって、日々の介護の中で起こった出来事を絵文字や写真と一緒に息子たちに送ることでだいぶ気持ちが楽になり、ストレスも軽減できたと言います。

こうした、気軽に使える通信ツールも、介護者の精神的負荷(ストレス)を和らげる重要な役割を担っているのです。

終わりに

介護はひとりで抱え込むには重すぎる問題です。決してひとりの家族に責任を押しつけるのではなく、できることとできないこと、そして自分はどこまで携われるのかを家族の間で話し合うことが大切です。

たとえ自分が直接介護をできなくとも自分以外の家族の事情を理解するよう努めることは最低限の責任であり、家族がうつ状態になることなく健康でいられるために必要なことなのです。

入居相談のプロが教える、
有料老人ホームの費用をお得にするコツ

家族が病気で介護を必要とするようになったり、在宅介護を継続できなくなったりするときに考 える、有料老人ホームの利用。しかし、そこで多くの方の前に “壁” となって立ちふさがるのは、「費 用」の問題です。

値段は施設によって異なりますが、数百万円の入居一時金(入居の際に支払うお金)と月額約 20 万円の施設利用料を「高い」と考える方は少なくないはず。入居する家族の貯蓄や年金でこの費 用をまかなうことができず、在宅介護を余儀なくされるケースもあるでしょう。

そこで、この無料EBookで、誰もが使える老人ホームの費用を少しでも安くする方法を解説します。 ぜひダウンロードして、老人ホーム選びの際にお役立てください。