まず押さえたい!アルツハイマー型認知症の基礎知識を網羅!

数ある認知症の中でも特に発症の割合が高いのが、アルツハイマー型認知症。その名前はよく知られますが、実際ほかの認知症とどのように違うのか、アルツハイマーの初期症状はあるのか、正確に知っている方はそれほど多くはないでしょう。

認知症患者の約4割を占める、アルツハイマー型。まだ兆候はなくとも、これから先、あなたの家族やあなた自身が発症する危険もあります。

アルツハイマー型認知症になる原因

アルツハイマー型認知症とは、脳に特殊なタンパク質が蓄積し、新しくもの、ことを記憶する際に機能する海馬を中心に神経細胞が減少し側頭葉、頭頂葉が萎縮する病気です。

最近では第三の生活習慣病とも言われ、糖尿病などが発症のリスクになることも指摘されています。高齢の女性が発症することが多いとされていますが、原因はまだ不明の部分も多い疾患です。

【進行度別】アルツハイマー型認知症の中核症状と周辺症状

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認知症の症状は発症前期(軽度認知障害)、初期、中期、末期と緩やかに進んでいき、次第に症状は悪化していきます。主に見られる症状としては、記憶障害や迷子の原因となる見当識障害、料理の手順などがわからなくなる、実行機能の障害、記憶の障害から判断力が低下して同じものを買ってしまう、などです。

また、アルツハイマー型認知症には「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」が現れます。「中核症状」は記憶障害や見当識障害などから成り、「周辺症状(BPSD)」は妄想、徘徊、不安、焦燥、うつ状態、せん妄、暴力行為などから成ります。特に周辺症状の発症にはご家族との関係性など環境要因の影響も強く、ひとりひとり症状は異なります。では、以下で病気の進行度に合わせて起こる中核症状と周辺症状について見ていきましょう。

発症前期<軽度認知障害>(本格的な発症から10年以上前からあることも)

<中核症状>
・物忘れ

<周辺症状>
・不安
・抑うつ

初期(発症から1〜3年)

<中核症状>
・近時記憶(新しいことを憶え他の刺激を受けた後までおぼえておく機能)の障害
・実行機能障害(抽象的な思考や複雑な行為の計画、実行、中止の障害)
・時間の見当識障害(日時がわからなくなる)

※ただしご高齢の方で数日・数年程度の時間の認識の誤りは必ずしも病的ではありません。

<周辺症状>
・やる気、自発性の低下(アパシー)
・物盗られ妄想

中期(発症から5〜9年)

<中核症状>
・遠隔記憶(数年から数十年の記憶)の障害
・場所、人物の見当識障害(今いる場所や、自分が誰なのかわからない)
・失認(対象を認識できない)、失行(簡単な行為ができない)、失語(言語使用ができない)

<周辺症状>
・鏡兆候(鏡に映った像を自分と認識できない)
・徘徊、迷子
・興奮・多動

末期(発症から10年〜)

<中核症状>
・記憶障害(全般)
・人格の変化
・室外套症候群(寝たきりで行動・発話がない)

<周辺症状>
・不潔行為(便をさわる)

アルツハイマーかも!?と思ったら。判断するための10のチェックリスト

ここからはアルツハイマー型認知症かどうか診断するためのチェック項目として、アメリカのアルツハイマー病協会の「アルツハイマー病を疑う10の症状」をご紹介します。家族や自分がもしかしたらアルツハイマーかもしれないと思ったときには、このチェック項目をぜひ参考にしてみてください。

1.物忘れがひどい
・最近覚えたことを忘れる
・同じことを何度も聞く
・ちょっとしたことを覚えるときでもメモや家族に頼る

2.計画を立てたり問題を解決することを難しく感じる
・レシピ通りに調理ができない
・月々の請求書の支払いができない
・集中力が落ちるため、以前より仕事が遅くなる

3.慣れたことでも、最後まで完了できにくくなる
・慣れた場所でも運転できない
・慣れたゲームのルールを忘れる
・金銭管理ができない

4.時間や場所について混乱する
・日付や季節、時の経過を忘れてしまう
・自分が今どこにいるのか、どのようにしてそこまで来たのか思い出せない

5.視覚的・空間的な関係を理解しにくくなる
・読書や距離の判断、色の理解ができない
・鏡に映っているのが自分だとわからない

6.話したり書いたりする言語能力に問題が生まれる
・会話に入ったり、ついていくことができない
・同じ話を繰り返す
・ものの名前を間違える

7.物を置き忘れて探せなくなる
・物をいつもと違う場所に置く
・自分の行動をさかのぼれなくなる
・誰かが自分の物を取ったと非難する

8.判断能力が低下する
・誤った判断を繰り返す
・テレビショッピングで高額なものを購入する
・身体をきれいにすることに興味がなくなる

9.仕事や社会活動から離れ、引きこもる
・追いかけていたスポーツチームへの興味を失う
・趣味をやめてしまう
・人と関わるのを避けるようになる

10.気分や性格が変わる
・混乱する、うつ状態になる、不安になる、疑い深くなる
・知らない人に会ったり、慣れた場所以外に行くと混乱する

以上の10個のチェックリストに心当たりがあったら、早期に病院での診断を試みましょう。

家族がアルツハイマーになってしまったら。まずは相手を尊重しよう

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では、家族がアルツハイマー型認知症になってしまったらどのように接していけばいいのでしょうか。

ひとつは、本人の尊厳を傷つけないようにすることです。アルツハイマー型認知症に多い“記憶障害”は家族ももちろんですが、本人にとっても非常にショックな出来事です。

病状が進行するにつれて、病識(自分が病気であるという認識)は薄れていきますが、症状が出始めたばかりのころ(軽度認知症害)はまだ病感(自分が病気だと明確に意識しないまでも何かがおかしいという感覚)があります。そのため「なぜこんなことも憶えておけないのだろう」と、自分自身にイライラします。

そんなときに、家族が「なんでそんなことも憶えてないの?」などと言ってしまったら、本人の心をひどく傷つけてしまい、本人の居心地が悪くなることで徘徊などの周辺症状にもつながります。診察した病院からの指示に従いながら、ゆっくりと付き合っていきましょう。

そのほかの認知症の方との接し方については、こちらの記事もどうぞ
初めての認知症ケアで失敗しないために覚えておきたい基本事項

終わりに

アルツハイマー型認知症の症状からチェックリスト、家族の対応までまとめてきましたが、これは一般的な例で、実際は人それぞれ。チェックリストに当てはまったからといって絶対にアルツハイマー型認知症であるとは言えませんし、逆に気づかないうちにアルツハイマー型認知症が進んでいることも考えられます。

「家族の様子が最近おかしいな」「最近物忘れがひどいな」といったことを感じたら、病院で一度きちんと検査をすることをおすすめします。もしアルツハイマー型認知症と診断された場合でも落ち着いて、ありのままの家族を受け入れるようにしましょう。

認知症を改善する方法についてはこちらの記事をどうぞ
認知症改善のために日常生活の中でできる6つの取り組み

監修医
伊達悠岳
医師。専門は神経内科。済生会横浜市東部病院勤務。

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