要介護認定の基準となる「日常生活自立度」とは?

日常的な生活支援・身体介護を要する高齢者は要支援1・2または要介護1~5の7段階に分類されることはすでにご存じの方も多いでしょう。

ただ、この要介護度。どのような基準で判定がなされているのか、疑問に思う方もいるのではないでしょうか?

今回は、要介護認定の大きな判定基準となっている認知症高齢者の「日常生活自立度」について解説します。

日常生活自立度は、要介護度を決める最初の判断基準に

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「日常生活自立度」とは、認知症や障害のある高齢者が、どれだけ独力で日々の生活を送ることができるのか、その程度をレベル分けした基準値です。認知症高齢者は7段階、障害のある高齢者は4段階に分類されています。

この日常生活自立度を最初に計るのは、介護保険の申請時です。役所の窓口で介護保険申請の手続きを終えたあと、今度は市区町村の担当者(調査員)が自宅を訪問。高齢者に面談をおこない、その調査内容をもとに調査員がレベル付けをします。

その後コンピューターによる一次判定、主治医が作成する「主治医意見書」と併せた二次判定を経て、最終的な要介護度(または要支援度)が決められるのです。

日常生活自立度7段階の内容について

それでは認知症高齢者に対する日常生活自立度の、7段階(Ⅰ、Ⅱa、Ⅱb、Ⅲa、Ⅲb、Ⅳ、M)の内容を見てみましょう。基本的に数字が大きくなるほど自立度が低くなり、手厚い日常支援や介護が必要となる傾向にあります。

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Ⅰ)何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している状態

家族や支援する人がいれば日常で困ることはほとんど変わりなく日常生活が送れるレベルです。

Ⅱa)日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭外で見られるが、誰かが注意していれば自立できる状態

周囲が目まぐるしく変わる屋外は、認知症高齢者にとってその状況を把握するだけでも大変なことです。道に迷う、買い物時の計算ができないなどの症状が見られる場合はこのレベルに該当します。

Ⅱb)日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭内で見られても、誰かが注意していれば自立できる状態

日常生活を送る慣れ親しんだ家で症状が出る場合は、Ⅱaよりも重度と判断される傾向にあります。具体的には、服薬管理ができない、留守番(電話応対、来客応対)ができない場合はこのレベルに該当します。

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Ⅲa)日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが日中を中心に見られ、介護を必要とする状態

Ⅱよりも認知機能が低下しており、常時の見守りや支援(たとえば、着替え・食事・排便・排尿がうまくできない、など)を必要とする認知症高齢者が当てはまります。家庭事情にもよりますが、居住系サービスの利用を検討してもよいレベルと言えます。

Ⅲb)日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが夜間を中心に見られ、介護を必要とする状態

認知症の程度としてはⅢaと同等ですが、徘徊や大声を出すといった症状が夜間でも見られる場合はこのレベルに該当します。生活が昼夜逆転することによって、本人の健康状態の悪化を招く可能性が高くなり、介護にあたる家族の疲労も大きくなるため、Ⅲaより認知機能が低下しているとみなされます。

Ⅳ)日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする状態

Ⅲよりも認知症の症状が多い頻度で現れる状態です。在宅介護が難しくなり、本格的に老人福祉施設や居住系サービスの利用を検討せざるを得ないレベルと言えます。

M)著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態

激せん妄や幻覚が見られるケースや、暴力行為、自損行為などが見られる場合に適用されます。こういった精神疾患が原因で起こると見られる症状は、専門医の管理下での治療が必要です。Mのみは、認知症の程度に関係なく適用されるレベルとなります。

調査員の経験によって左右される日常生活自立度の基準は完璧ではない…?

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以上のように、要介護度を決定するうえでの重要な基準となる日常生活自立度ですが、問題点もあります。

まず、調査(聞き取り)内容によって判定されるため、調査員の認知症への理解度、経験によってその結果にバラツキが出ます

また、見慣れない人が突然家までやってきて、自分のことを根掘り葉掘り聞かれれば、不信感を示す人や緊張して言葉が出てこない高齢者も少なからずいます。誰もが普段どおりのリラックスした状態で面談に応じられるわけでもなく、たまたま言葉が出てこないだけで重度の判定が下されてしまう可能性も大いにあり得ることです。

調査員から同居する家族に対しても質問が及ぶことがありますが、長年別居していたあとに一緒に暮らし始めた人や、そもそも親子間のコミュニケーションがあまり円滑でなく、親に対して家族が誤解しているケースなども。こういった場合、調査員に正確な情報を伝えられず、判定に不利な影響が出かねません。

終わりに ~今後始まる介護生活を見据えて

介護保険の受給を前に、市区町村から派遣される調査員との面談は欠かせないプロセスです。そのため、普段どおりの態度で臨めず、不利な判定をされるのは避けたいところ。

自分が認知症またはその予備軍であることを認めたくないという高齢者は多くいますが、まずはじっくり本人と話し合い、緊張や心のバリアを徐々に解きほぐしていくことが重要です。

■参考文献・資料
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準(「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」の活用について(H5年10/26老健第135号厚生省老人保健福祉局長通知))