幻視や体のこわばりが見られたら要注意。レビー小体型認知症の症状とその特徴

現在多くの高齢者に見られ、社会問題ともなっている認知症。その多くは記憶の障害から始まる「アルツハイマー型認知症」ですが、アルツハイマー型認知症に次いで患者数の多い、「レビー小体型認知症」という病気があることをご存じでしょうか?

現在、認知症全体の約20%を占めていますが(報告により10~40%と言われています)、アルツハイマー型と比べて認知度が低く、レビー小体型認知症の診断、治療について十分な経験のある医師も少ないのが現状です。

大脳にタンパク質の一種が付着することが原因

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レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症同様、大脳皮質の神経細胞内に特殊なタンパク質の一種が付着し、脳の特定のグループの神経細胞が減少することによって起こる認知症です。アルツハイマー型認知症とは、蓄積するタンパク質の種類や減少する神経細胞の種類が異なるため、症状も大きく異なってきます。女性に多く見られるアルツハイマー型認知症とは対照的に、こちらは男性に多く見られる認知症で、男性の患者数は女性の約2倍と言われています。

レビー小体は、1976年に小阪憲司医師(現・横浜市立大学名誉教授)らによって報告されました。小阪医師は、パーキンソン症状のあった認知症患者の病理解剖をおこなった結果、大脳皮質内にいくつかの小体(レビー小体)を発見し、同様の例が続いたことからこの小体の究明に乗り出しました。そして現在は、アルツハイマー型とは異なる新たな認知症の一つとして、世界中で知れ渡るようになったのです。

レビー小体型の特徴は「幻視」「記憶障害」「パーキンソニズム」

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レビー小体型認知症の大きな特徴として、進行性の認知機能障害、中でも記憶障害と幻視を中心とする視覚認知の障害が目立ちます。記憶障害は初期から認められますが、アルツハイマー型認知症と異なり記憶障害は比較的軽度で、新たなことを記憶できないというより脳にすでに入っている事柄を思い出せない症状が中心になります(そのため、家族がこんなことあったじゃない、と言っても全く思い出せないアルツハイマー型認知症と異なり、ヒントを差し出すと思い出せることがあります)。

また、小動物や虫、小人、子供などの幻視は特徴的な症状で、既に死んだ家族がいる、家の中に泥棒が入って来るというような訴えが聞かれ妄想に発展することも少なくありません。例えば、誰もいないのに「あそこに人がいる」など言い出したら注意しましょう。遂行能力や問題解決能力が低下するのも特徴です。

認知機能の低下以外では、パーキンソン病患者の症状と同様の症状が現れることが多いです。パーキンソン病とは神経伝達物質の一つであるドーパミンが減少することによって起こる病気で、脳が発する指令を神経がうまく伝達できず、運動の遅さや筋肉の硬さ、姿勢の不安定性、手の振るえといった症状が現れます(これらをパーキンソン症状、あるいはパーキンソニズムと呼んでいます)。レビー小体型認知症でも同様の症状を呈します。

初期〜末期の症状チェックポイント

初期

<中核症状>
・物忘れ

<周辺症状>
・幻覚(主に幻視。実在しないものが極めてリアルに見えるようになる)
・抑うつ
・レム睡眠行動障害(夜中に急に奇声をあげる、騒ぎだす)

抑うつ状態は判明が難しいため、認知症の発見が遅れる原因にもなります。

中期

<中核症状>
・より重度の物忘れ

<周辺症状>
・幻覚とそれによる妄想の発展
・身体の硬直、歩行困難

<身体症状>
・身体の硬直(固縮と言います)、歩行困難
この時点でパーキンソン病患者と似た症状、いわゆる「パーキンソニズム」が見られるようになります。

末期

<中核症状>
・記憶障害の更なる進行(進行期にはアルツハイマー型認知症と区別が難しくなります)中期までと同様

<周辺症状>
・うつ症状
・レム睡眠行動障害(夜中に急に奇声をあげる、騒ぎだす)

身体症状
・パーキンソン症状の進行
身体の硬直(固縮)がより進行し、歩行が不可能になり、より進行すると寝たきりになります。嚥下(飲み込み)の障害が目立つようになり、誤嚥から肺炎を繰り返す方が多くなります。

治療薬の効果とケアにおける注意点

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現在、レビー小体型認知症への治療薬は「ドネペジル塩酸塩」があります。この薬は従来、アルツハイマー型認知症患者へ処方されていたものですが、レビー小体型認知症への効果があることも判明したため、2014年に保険が適用されるようになりました。脳の神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素の働きを抑える効果があり、認知症治療薬の第一候補となっています。

しかし、脳内にあるレビー小体を排除する働きがあるわけではないので、薬による根本的な治療は、アルツハイマー型同様、困難なものです。日によって症状に波があることからも、家族は根気強く認知症高齢者と接していく必要があります。

特に幻視・幻聴については、実在しないものでも本人にとっては極めてリアルに見えるため、むげに幻視や幻聴の内容を否定するような発言は絶対にしてはいけません。

また、レム睡眠行動障害によって、夜中に目が覚め、急に騒ぎだす、暴れだすといった症状が出る可能性があることも理解しておきましょう。パーキンソン病の症状が強く出ることが大きな特徴であるため、居宅内の手すりの取り付けや、ベッドに転落防止の柵を取り付けるなどの配慮も必要です。

終わりに

最後にもう一度まとめると、レビー小体型認知症の症状の特徴は「幻視」「記憶障害」「パーキンソニズム」の3つです。特に、繰り返し現れる幻視は重要なチェックポイントです。

レビー小体型認知症は中期以降になると進行が早まるというデータもあるので、できる限り早期に発見し、適切な対処をおこないましょう。

参考資料・文献
『U-CANの認知症介護マニュアル』ユーキャン学び出版 認知症介護研究会編
『ぜんぶわかる認知症の辞典』成美堂出版 河野和彦編

監修医

伊達悠岳
医師。専門は神経内科。済生会横浜市東部病院勤務。

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