軽い物忘れから、もの盗られ妄想や徘徊へ……認知症の記憶障害はどのように進行する?

「認知症」という単語から1番に思い浮かべる症状……それは、“記憶障害”ではないでしょうか。食事したという事実を忘れて何度も食事を要求したり、あるいは家族の顔がわからなくなってしまったり……。

この記事では、そんな記憶障害の原因と進行、対策についてお伝えします。家族や自分自身に記憶障害が起こっているのではと疑問に思っている方は、参考にしてください。

認知症の記憶障害では、エピソード記憶と意味記憶が阻害される

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人の記憶は、その内容に応じて3種類に分けられます。「エピソード記憶」と「意味記憶」、「手続き記憶」です。このうちエピソード記憶と意味記憶は言葉で言い表すことができる「陳述記憶」に属し、認知症によって阻害されやすいといわれています。

エピソード記憶は「いつ、どこで、何をした」のように体験に基づく記憶です。認知症のなかでもとくにアルツハイマー型認知症によって阻害されます。また、数年前の遠い記憶よりも、数分〜数日前の近い記憶が強く阻害される傾向があります。ただし、認知症が進行するにつれて、古い記憶も阻害されていくようになります。

意味記憶は言葉の意味など、学習を通して身につけてきた知識についての記憶です。言葉の意味がわからなくなったり常同行動をとったりする「意味性認知症」で阻害されます。この意味記憶が阻害されてしまうと「あれ」「それ」などの指示語が多くなります。

一方で、言葉で言い表せない「非陳述記憶」である手続き記憶とは、自転車の乗り方や日常生活の基本動作など、意識しなくてもできる動作に関する記憶のこと。認知症ではそれほど阻害されず、また認知症が進行してもこの手続き記憶は長い間保持されます。

アルツハイマー型認知症における、記憶障害の進行

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記憶障害の進行には、それぞれ段階があります。認知症の中で最も高い割合を占めるアルツハイマー型認知症における記憶障害の進行について説明します。

アルツハイマー型認知症は、脳に「アミロイドβタンパク質」が蓄積することによって神経細胞が破壊され、脳の機能が低下することによって記憶・思考・行動に障害が起きる病気です。高齢化に伴って発症することが多い病気ですが、最近では65歳未満の若年性アルツハイマー病も知られるようになりました。

初期は「記銘」という新しい事柄を覚える能力が衰えることから記憶障害は始まります。日常的に同じことを聞き返すようになり、物を置いた場所やしまった場所も忘れてしまって、探し物をすることも増えます。また、作業のやりっぱなしなども増加します。最初は加齢によるちょっとした物忘れだと思うため、発症への気づきが遅れるので注意が必要です。

中期になると、進行するにつれて自分が体験したことに関するエピソード記憶が失われていきます。物をしまったことそのものを忘れてしまい、誰かに盗まれたという「もの盗られ妄想」につながることも少なくありません。数分前に食事をしたのに食事をしていないと言って虐待されていると言われてしまうこともあります。

もの盗られ妄想について詳しくはこちらの記事もどうぞ
親に泥棒扱いされる「もの盗られ妄想」……対処するにはどうしたらいい?

さらに進行して後期になると、道具の使い方などの手続き記憶や、近い記憶だけでなく遠い昔の記憶も少しずつ忘れるようになります。言葉の意味などの意味記憶も徐々にわからなくなり、抽象的な表現が多くなります。特定の言葉だけを使うようになった時には注意が必要です。

記憶障害の治療は、食事や香りで脳に刺激を

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認知症は、1度発症してしまうと完治は難しいといわれます。そのため、早めに病気に気づくことが大切になっていきます。薬の治療を始めるケースもありますが、併用して、脳に刺激を与えてできる限り進行を遅らせるようにしてください。

生活面では、まず食事や睡眠などの生活習慣を見直しましょう。多くの刺激を脳に与えられるように、人と接触する機会を増やして会話させるようにするとよいでしょう。また、そのほかにも体を動かす有酸素運動をしたり、アロマの香りを嗅いだりすると脳の刺激となり進行が緩やかになります。

食事では、豆類や鶏肉、青魚などの脳に血流を促すような食材が効果的といわれます。また、間食にナッツ類、柑橘類を取り入れると、よく噛むので味覚や香りが脳への刺激になります。

介護をする側である自分へのケアも忘れずに

認知症の代表的な症状である記憶障害について紹介してきました。記憶障害で一番つらいのは認知症になった本人です。とくに初期は本人も自分の記憶力が衰えている自覚(病識)がある、一番つらい時期ですので、そのメンタルケアは十分におこなうようにしましょう。

また、徘徊や妄想など記憶障害から起こる症状への対応が辛くなったら、施設を頼ることも検討してみてください。介護をしている自分へのケアも忘れずに、取り組んでいきましょう。

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