生活習慣病と密接な関係!「脳血管性認知症」の症状と特徴

認知症になると、単純な物忘れだけでなく、長年慣れ親しんだ人の顔や名前すらも思い出せなくなり、徘徊や妄想といった症状が見られるようになります。

その主な原因は、老化にともなう脳の委縮によって起こるものですが、脳梗塞などの脳血管障害の後遺症として発症する認知症もあります。今回は、三大認知症の一つであり認知症全体の20%にあたる「脳血管性認知症」について解説します。

おもに脳の血管が詰まることによって発症。加齢だけが病因ではない

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脳血管性認知症は、おもに脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などの脳血管障害によって併発する認知症です。ただし、単独では麻痺などの明らかな症状を呈しない小血管病変や低かん流性脳血管性認知症などもあり、脳血管性認知症は厳密には多発梗塞性認知症、小血管病変によるものとして多発ラクナ梗塞性認知症およびBinswanger病、また認知機能にとって重要な部位の単一脳梗塞によるもの、低かん流性脳血管性認知症、脳出血性脳血管性認知症など様々に分類されます。そのうち、約7~8割は脳出血やクモ膜下出血などの出血性病変ではなく、脳梗塞をはじめとした脳の血管が詰まるイベントが原因で発症しています。

発症しやすい年齢は60歳以降で、女性よりも男性に多く、高血圧症や高脂血症の人が脳梗塞を起こしやすいことからも、脳血管性認知症は生活習慣病と密接している認知症と言えるでしょう。ほか2つの三大認知症(アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症)と異なり、神経変性と呼ばれる脳の神経細胞の自動的減少が原因とは言えない認知症なのです。

脳血管性の症状。アルツハイマー型との違い

一般に認知症と言うと、多くの方がアルツハイマー型認知症を連想します。そのため、本当は脳血管性認知症であっても、アルツハイマー型認知症だと勘違いしてしまう例が見られます。そこで、その症状の違いについて以下にまとめました。

症状にばらつきがある、まだら認知症

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脳血管性認知症は、しばしば「まだら認知症」と言われます。まだら認知症とは、例えば物忘れが激しくても判断力や理解力だけは低下が見られなかったり、日によって同じことができる日とできない日があったりというように、その症状にばらつきがある認知症のことです。

これは、脳細胞が死滅した個所にばらつきがあり、完全に機能が失われるわけではないためで、記憶障害から始まり認知機能全体が低下していくアルツハイマー型認知症とは異なる経過を辿ります。

意識レベル(覚醒度)も日によって波があり、ぼーっとして一日中ほとんど反応がない日もあれば、意識がしっかりしていて受け答えもはっきりしている日もあります。したがって、アルツハイマー型認知症と比べて認知症としての診断が難しい疾患だと言えるでしょう。

段階的な症状の進行

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また、脳血管性認知症は、徐々に症状が進行するアルツハイマー型認知症と異なり、段階的に症状が進みます。症状が進行する要因としては、脳血管障害の再発や頭部打撲、ほかの認知症との合併などが挙げられます。

<脳血管性認知症の進行(必ずしもこの順番に進行するとは限りません)>
1.歩行障害
小刻み歩行や幅広歩行など

2.意欲低下
うつ病に似た意欲低下である「アパシー」や、不安状態など

3.構音障害
発音の障害。嚥下障害を併発する例も。

4.記憶障害
新しいことを覚えられなくなる↓
5.失禁
頻尿や尿意切迫など

脳血管性認知症の症状は脳の侵される部位によって千差万別であるため、一般的な進行の順番を表現することは難しいです。ただ、中でもアパシー(意欲低下)や怒りやすさが目立つこと、また下肢を中心とした動きの悪さから両脚を大きく開き不安定に歩く歩行異常を呈することが特徴的です。

脳梗塞の再発防止とリハビリが重要

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脳血管性認知症の家族をケアするときのポイントはいくつかあります。

まずは、脳梗塞などの脳血管障害を再発させないこと。再発させることで症状はどんどん重くなっていくためです。脳梗塞の原因となる高血圧を防ぐため、塩分を控えた栄養価の高いものを摂取するよう、食事には気を配りたいところです。

脳のダメージを受けた箇所によっては、すぐに歩行障害が見られる高齢者もいることから、居宅内での手すりの取り付け、風呂場での転倒防止用マットの設置など設備面での改善も必要です。

また、運動機能に障害がある場合、リハビリテーションによって認知症を遅らせることも可能です。歩行訓練や指先を使った簡単な作業、あるいは将棋やオセロなど脳を使うゲームなどは効果的です。ただし、リハビリテーションに関しては、患者によって障害が異なることからも、医師や作業療法士などの指示のもと、本人に最適と思われるメニューを実践するようにしましょう。

また、まだら認知症では日によって、できる・できないが異なるため、本人の様子をうかがったうえで、できないことを補助するようにしましょう。できることまで介助してしまうと、本人にとってリハビリテーションになるはずの機会まで奪ってしまいます。残存している機能は極力維持し、失われた機能は、周囲が介助しながらもリハビリによって回復させるように努めてください。

終わりに

患者が比較的若く、不慮の事故で後遺症が残った場合、家族は長期にわたる介護を覚悟しなくてはいけません。しかし脳全体の機能が低下している状態ではなく、しっかりと残存している機能や記憶もあることを忘れてはなりません。

特に運動機能についてはリハビリテーションによって回復する可能性も大いにあります。本人ができること、できないことを理解しながら家族がリハビリテーションをサポートする。こういった、「寄り添う介護」を続けていくことが、認知症を緩和する一番の策となるはずです。

参考資料・文献
『U-CANの認知症介護マニュアル』ユーキャン学び出版 認知症介護研究会編
『ぜんぶわかる認知症の辞典』成美堂出版 河野和彦編

監修医

伊達悠岳
医師。専門は神経内科。済生会横浜市東部病院勤務。

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