認知症にもつながるパーキンソン病。手足の震えが出たら早めの検診を

私たちの体を蝕むさまざまな病気。医学が発達した現代、薬や高度な医療技術によって、今まで治療困難とされてきた病気がいくつも改善されるようになってきました。しかし、加齢による体の衰えとともに、要介護状態を引き起こす、治療困難な病気がまだたくさん存在するのも事実です。

手足の震えなどが出る「パーキンソン病」も、高い確率で要介護状態につながる病気のひとつ。もし家族に体の拘縮や歩行困難、体が小刻みに揺れるといった症状が見られるようなら、それは病気の予兆を知らせるサインかもしれません。

そしてこのパーキンソン病、実は認知症との深い関係性があるのです。今回の記事では、パーキンソン病の症状に加えて、パーキンソン病から派生する認知症について解説していきます。

運動機能障害が起こるパーキンソン病。認知症につながる恐れも

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パーキンソン病は、脳の「黒質(こくしつ)」と呼ばれる部位の神経細胞が減少することによって起こります。この黒質は、人間が元気に活発に生きていくために必要な、感情、学習、意欲に深くかかわる神経伝達物質「ドーパミン」を分泌する機能があります。この細胞が減少することによってドーパミンの分泌量が減り、体の各器官への情報伝達がうまくできなくなります。

その影響で、①手足のふるえ、②筋肉の緊張・拘縮、③動きが鈍くなる(運動緩慢)、④姿勢が前かがみになる(姿勢保持障害)といった運動機能障害が見られるようになるのです。

おもに50~65歳の年齢層に頻発する病気ですが、40歳前後や、逆に70歳以上になって発症する人もいます。発症率は約1,000人に1人程度といわれており、現在日本では約10万人のパーキンソン病患者がいると推定されています。詳しい原因はわかっていませんが、ごくわずかながら遺伝が原因で発症する人がいることも確認されています。

「認知症を伴うパーキンソン病」と「レビー小体型認知症」

さらに、パーキンソン病の恐ろしさは手足の不自由だけではありません。実は、パーキンソン病は、認知症にもつながる病気なのです。以下で、パーキンソン病から認知症へ、あるいは認知症からパーキンソン病へつながるふたつの病気について説明します。

「認知症を伴うパーキンソン病(PDD)」:パーキンソン病→認知症

パーキンソン病では、運動機能障害だけでなく、記憶障害など認知機能の低下もみられます。このようにパーキンソン病を発症した後に起こる認知症を「認知症を伴うパーキンソン病(Dementia associated with Parkinson’s Disease 以下PDD)」と呼びます。一般の(認知症を伴なわない)パーキンソン病と比べ、高齢になるほど発症率が高くなります。

PDDでは、記憶障害などの認知機能の低下のほかに、アパシー(無気力)、うつ状態、睡眠障害、妄想、幻聴といった認知症同様の症状が現れます。実際に、PDD患者の約8割が後に認知症を発症すると報告されています。

「レビー小体型認知症」:認知症→運動機能障害

パーキンソン病と酷似しており、パーキンソニズム(「手足の震え」「筋肉の緊張」などの運動機能障害)が現れる認知症として、「レビー小体型認知症」が挙げられます。レビー小体型認知症は軽い物忘れのような中核症状から始まり、やがて妄想・幻聴、体の拘縮や歩行困難へと悪化していく認知症で、アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症と並んで三大認知症のひとつに数えられます。大脳皮質の神経細胞内にタンパク質(レビー小体)が付着し、神経細胞が減少することによって起こる病気です。

一般に、運動機能障害→認知症発症の場合はPDD、認知症→運動機能障害、あるいは認知症と運動機能障害が1年以内に立て続けに起こった場合はレビー小体型認知症と分類されています。ただ、病理学的にはPDDとレビー小体型認知症は同一の疾患と考えられています。

いずれにせよ、パーキンソン病と認知症は極めて密接に関連している病気だといえるでしょう。

おもな治療手段は「薬物処方」と「リハビリ」

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パーキンソン病は、薬物治療と運動機能維持訓練(リハビリ)がおもな治療法となります。

薬物治療は、脳全体のドーパミン量を増加させて抑うつ的な気分を解消させるドーパミン作動性薬剤を使う手法が主です。現在では、数種類の薬を処方することで、より高い効果が望めるようになりました。しかし薬には副作用のリスクもあるため、医師が定める用量・用法をしっかりと守ることが大前提です。

リハビリでは、歩行訓練や簡単な動作・作業を繰り返しおこない、ADL(日常生活動作)の維持に努めることが重要です。病気の進行がゆるやかな時期は、本人の自主性に任せたトレーニングでもよいかもしれませんが、終末期に近くなるほど運動機能障害が顕著に現れます。医師や理学療法士の指導を受けて、安全で体調面にも配慮したリハビリを実践しなければなりません。

手足のふるえが現れたら認知症の警戒も

認知症を伴う・伴わないにかかわらず、パーキンソン病は完治が困難な難病です。また、PDD・レビー小体型は妄想や幻聴、睡眠障害や暴力行為なども症状として現れるため、介護する側の疲労が著しく増加する可能性もあります。家族介護だけに限界を感じた場合、外部の介護サービスを柔軟に利用しながら無理のないケアに努めていきたいところです。

認知症につながることも少なくないパーキンソン病。その発症や進行には十分に気をつけましょう。

■参考文献・資料
『レジデントのためのパーキンソン病ハンドブック』山本光利編著 中外医学社
パーキンソン病の悪化に関連する因子の発見(東北大学大学院医学系研究科)

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